てぃーだブログ › JUDI Ryukyu

2012年05月15日

都市のなぎさ

那覇空港へ着く瞬間。島尻の緑と埋立地。
そして飛行機から見るイノーの美しさ。
瀬名島の緑。


空港から国道58号の特徴的なヤシ並木の景観。
最近、海中トンネル「うみそらトンネル」が出来た。
セルラースタジアム。東京チックなビル景観。

本土並みとは何であったのか。
ミニ東京を造るためのスローガンであったのか。

かつての沖縄は航路で着く船からの景観が特徴的であった。
赤瓦の屋並み。
琉球石灰岩の護岸。
青い海と青い空。
湿った空気。

沖縄の景観は年々美しくなっている。
でも何か足りない。
戦前のノスタルジーに帰るわけにも行かず。
どうすればよいのか。
沖縄の都市環境デザイン。

復帰から40年。どこに向かって行けばいいのか。
文化と景観。文化と経済。
復帰後、経済一辺倒できたまちづくりを考える機会に恵まれたに違いない。

首里城を核とする世界遺産群。
わずかに残る木造建築。
戦後出来た美しい近代建築。
すべてある物をリニューアルし、ない物は補完していく。
そんなまちづくりの方向なのか。

竹富島、渡名喜島に残る伝統的建造物群。
島と都市。
沖縄本島も島である。
都市には遊びが必要である。都市と自然を繋ぐ空間。

なぎさ。
かつての集落はその「間」を大切にしてきた。



今、沖縄の都市環境デザインに求められているもの。
それは「都市のなぎさ」ではないだろうか。

  

2012年04月22日

海の中の都市・サンゴ礁

サンゴ礁の恵み
琉球(沖縄・奄美)のサンゴ礁は世界にも通用する美しさを潜在的に秘めている。今後は、「沖縄・奄美・先島のサンゴ礁」を世界に向かって一体的にプロデュースすることが大切な視点であると考える。
もう一つの大事な視点は、琉球(沖縄・奄美)に住む私たちが身近なイノーの存在をあらためて見直す点にあるのかもしれない。物質的な面、精神的な面からみてもイノー(サンゴ礁々池)からの恵は計り知れない。


渡嘉敷島

国連による世界初の地球規模の生態系評価報告書案が2005年2月7日に明らかにされた。評価は「ミレニアム生態系アセスメント」と呼ばれ、その中で「サンゴ礁は漁業や観光、沿岸の浸食防止でなどの形で年300億ドルの御恵を人間に与えている」と述べている。 
サンゴ礁は一つ一つのサンゴの個体から形成されている。サンゴ及びサンゴ礁の種類も多様であり、固定型のサンゴだけではなく、移動するサンゴの種類もある。また、一斉に放卵して身を防ぐ知恵も持っている。
こうしたサンゴ礁から学んだことを「黒潮の流れ」のように新たな人間と環境のあり方を琉球(沖縄・奄美)から、全国に問いかけてみることが今、求められている。
まさに地球号をどこに導こうとしているのか、世界の人たちが真剣に考え始めている。「サンゴを見てサンゴ礁」を見ずではないが、地球を俯瞰的に見る視点が大切である。

サンゴ礁の防災効果
東日本大震災の津波で計画的に植えられた松並木の1本の松が残った。「希望の松」と名付けられた。琉球のサンゴ礁も防災の効果を秘めている。東日本大震災の教訓に学び、琉球でも計画的に防災効果を持つサンゴ礁を増やすことが今求められているサンゴ礁の形成過程の本質を考察し、都市再形成へ応用することである。両者は類似している点が多いと感じていた。今回は両者の類似性を少し踏み込んで考察してみたい。

都市と建築の関係性
サンゴ礁はなぜ美しいのか、それは多様なサンゴたちをまとめている点にあるのではないか。サンゴ礁にはまとめる力がある。逆に言えばまとまらなければ生きていけない。そういう性質を持っている。都市も個々の建築が集合しなければ成り立たない。個と全体という関係性において、サンゴとサンゴ礁の関係は建築と都市(まち)の関係性に類似している。
サンゴたちは子孫を残すため一斉放卵をする。その卵は黒潮の流れに乗って運ばれる。時を選んで。自然の計画である。一方、不完全な人間が計画した都市はおのずから不完全である。この都市をより良いものにするため、自然が生んだデザインである「サンゴ礁」から学ぶべき点が多い。


沖縄美ら海水族館

現在の都市の課題
現在の都市の多様性のある建築群。個々の建築は美しい。しかし都市全体でみるとあまり美しいとは言えない。現在の建築群を生かしてより美しい都市に再形成できるか、この点に焦点をあてて考えてみたい。

都市再形成のヒント
サンゴ礁の多様性と現在の多様な建築。サンゴ礁は多様性があるから美しい。その応用として多様な建築の個性を生かしてあえて統一しない自然発生的な多様な都市美を形成する提案である。いわゆる都市計画に遊びを持たせたまちづくりである。あまりにも計画的な都市は遊びがない。人の隠れる所が無い。余白がない。間がない。
「琉球の美」の本質の一つに多様性をまとめる力があると思う。間の持つ力であるオープンスペースには多様な建築群をまとめる力があると思う。パソコンで例えれば、OS(オペレーション・システム)である。多様なアプリケーションをまとめるベースとなるもの。建築空間で代表的な事例が首里城の御庭(ウナー)である。ベースとなる庭(オープンスペース)が琉球建築、中国建築、日本建築たちをとりまとめている。まさにOSである。


首里城御庭 中秋の宴

海の中の都市・サンゴ礁
サンゴ礁は海の中の都市といえるかもしれない。サンゴ礁が魚たちの楽園であるように、都市(まち)は人間たちの楽園であってほしい。
そのためには建築家が都市全体を、都市デザイン家が建築を、と相互に乗り入れる仕組みづくりが大切である。

  

2012年04月21日

美しい琉球

田中一村展
今、復帰40周年事業として「田中一村展」沖縄県立博物館・美術館で開催されている。
まさしく、「琉球弧で開花した美の世界」。
久しぶりに感動した。


田中一村展ちらし

田中一村の残した自然景観を含めた「沖縄・奄美」の記憶を地道に回復していくことが大切な視点ではないだろうか。
戦災で失われた文化財を地道に復元し、土地の記憶を少しでも取り戻すこと。
これは沖縄のみではなく共通する歴史文化的一体性によって結ばれた琉球孤全体の歴史文化圏域としての広がりと蓄積を全体として取り戻すことが大切である。

美しい古都首里の町並み
この模型は、18世紀に描かれた「首里古地図」を基に可能な限り、18世紀の首里の町並みを復元している。首里杜館(スイムイカン、首里城公園レストセンター情報展示室)に展示されている。
模型を見ると往時の首里の町並みは、首里城を中心に街道が四方に伸び、地形を巧みに活用したまちづくりの様子がうかがえる。
琉球石灰岩地質特有の湧水が非常に多く首里城も水の流れを重要視している。宗教的には、社寺仏閣が多く、往時のスプリチャルな一面を覗かせている。
18世紀の首里の町並みはペリー提督をはじめ、数多くの外国人にパラダイスのようだと絶賛されている。
また、沖縄最古の歌謡集「おもろさうし」(12~17世紀)にも「首里杜上て行けば 夜の明けて 太陽の照り居るように美しい」と称されている。


古都首里再現模型

先人から学ぶべきもの
往時の琉球王国のまちづくりに学ぶ面は多い。
地形の活かし方、まちづくりのコンセプト、そして何よりも首里城という中心があることがその美しさの根元にあるのではないだろうか。
まさに王国(kingdom)である。
先の大戦での文化の中断後、首里城の一部が復元されたことで「都市の記憶」が着実に甦ってきている。
2002年の世界遺産の登録と同時に首里城跡周辺がバッファゾーンと指定され、今後、地域住民、行政さらに観光客等の外からの視点を加えた総合的なまちづくりの動向が期待されている。

古都首里の再現
現代の都市環境デザインは地域のアイデンティティがおろそかになっているのではないか。
人それぞれに特徴があるように都市に関しても地域の特徴を最大限に活かす必要がある。
現在は都市化が進み、首里城公園周辺の歴史的風致景観の再現が首里地域の都市環境デザインの重要な課題となっている。
地域住民が誇りを持ち、観光客がまた来たい。と思える風格ある人情味あふれる古都首里の再現が急務である。


中城御殿跡地